建設 人材の確保が、今や経営の根幹を左右しています。私は2026年に東京都内で株式会社を設立しましたが、それ以前に総合保険代理店で3年間、個人事業主や中小企業経営者の資金相談を担当した経験があります。そこで感じたのは、建設業の経営者が「採用と経審加点を別々の問題として捉えているうちは、どちらも解決しない」という現実です。この記事では、その両立に必要な6軸を実務視点で具体的に解説します。
建設業の人材確保は、採用活動単独で考えると行き詰まります。経営事項審査(経審)の技術職員加点と採用・定着を連動させることで、「評価が高い会社だから人が集まる」という好循環が生まれます。法人化による信頼性の向上も、この循環を加速させる有力な選択肢の一つです。
建設 人材確保は経審加点と両立が鍵
なぜ採用だけでは解決しないのか
多くの建設業経営者が採用に苦戦する理由は、「求人を出せば人が来る」という前提が2026年時点でほぼ崩壊しているからです。国土交通省の建設労働需給調査(2024年度)によれば、建設技術者・技能労働者ともに需給がひっ迫した状態が続いており、求人倍率は他業種と比べて高水準を維持しています。
この状況で個人事業主のまま採用活動を続けることには、明確な限界があります。社会保険への加入義務が徹底されつつある今、加入状況が不透明な事業者には求職者が集まりにくくなっています。法人化して社会保険を整備した段階から、はじめて「土俵に上がれる」というのが実態です。
さらに重要なのは、経営事項審査のスコアが採用力に直結するという視点です。技術職員数や資格保有状況がW点(技術力評価)に影響し、そのスコアが公共工事の受注機会を左右します。受注実績が増えれば経営が安定し、安定した経営が人材定着を後押しする——この連鎖を意識的に設計することが、今の建設業には求められています。
法人化が採用力を底上げする理由
私が保険代理店に勤めていた頃、個人事業主として建設業を営む経営者の方から、こんな相談を受けたことがあります。「職人を雇いたいけれど、個人事業主だと断られることが多い」というものでした。当時は社会保険の問題だけかと思っていましたが、実はそれ以上に「会社として存在しているかどうか」が求職者の安心感に大きく影響していると後に気づきました。
法人化によるメリットは採用面だけではありません。資本金100万円程度でも株式会社として登記することで、取引先からの信用が上がり、融資の選択肢も広がります。建設業許可の取得・維持においても、法人格があることで経営管理責任者の要件を満たしやすくなるケースがあります。採用・経審・許可の三つを一体として設計する視点が、経営の安定につながります。
建設業の人材市場と法人化のメリット(筆者の実体験)
保険代理店時代に見えた建設業経営者の共通課題
総合保険代理店に勤めていた3年間、私は特に個人事業主や小規模法人の経営者と向き合う機会が多くありました。建設業の経営者との面談で記憶に残っているのは、ある型枠大工の親方が「息子に継がせたいが、個人事業主のままでは社会保険も整備できず、息子の将来が不安で継がせられない」と話していた場面です。
これは決して特殊な例ではありませんでした。複数の経営者が同様の悩みを抱えており、法人化を検討しながらも「手続きが複雑そう」「費用がかかる」という思い込みで踏み出せていない状況が続いていました。実際には、株式会社の設立費用は登録免許税15万円・定款認証費用約5万円が基本で、資本金は1円以上から可能です(会社法第445条)。ただし現実的な運転資金や信頼性を考慮すると、100万円前後の資本金が選ばれるケースが多い印象です。
私自身が2026年に株式会社を設立した経験から言うと、法人化の手続き自体よりも「法人化後の社会保険加入・給与設計・決算申告の流れを事前に把握しておくこと」の方がよほど重要です。この準備不足が、法人化直後の混乱を招く一因になります。
民泊事業で学んだ「人が定着する環境」の本質
現在、私は浅草エリアでインバウンド向け民泊事業を運営しています。直接の建設業ではありませんが、物件の修繕・内装・設備管理を外注する中で、「同じ職人さんに継続して来てもらえるか」が事業の品質を決定的に左右することを実感しています。
一度お願いした職人さんに「次もお願いします」と言えるかどうかは、報酬の適正さはもちろん、「仕事の進め方が明確か」「急な変更への対応をどうするか」という運営側の姿勢に大きく依存します。建設業の人材定着も、本質は同じだと私は考えています。給与水準だけでなく、働く環境と将来像を見せることが、採用した人材を長く活かす条件です。
技術職員の採用と経審加点6軸
経営事項審査における技術職員の評価構造
経営事項審査(経審)の技術力評価(W点)は、建設業許可の審査において採点される重要な指標の一つです。技術職員の人数と保有資格がW点に直接影響するため、採用戦略を「誰を・どんな資格で・いつ雇うか」という視点で組み立てることが、経審スコアの改善につながります。
国土交通省の経営事項審査の手引き(2024年度改訂版)によれば、技術職員は「監理技術者・主任技術者になれる者」と「その他の技術者」に区分され、保有資格の種類によって加点の重みが異なります。たとえば1級施工管理技士や技術士は高い加点が見込まれる一方、2級施工管理技士でも一定の評価を受けられます。採用の際にこの区分を意識しておくことが、経審スコア設計の出発点です。建設業の求人おすすめ2026|代表が選ぶ採用7軸と経審加点術
人材確保と経審加点を連動させる6つの軸
私が保険代理店時代の相談経験と、自身の法人経営の知見から整理した「採用と経審加点を両立させる6軸」を以下に示します。
- 軸①:資格保有者の優先採用——1級・2級施工管理技士など、W点に直結する資格を持つ技術者を採用計画の中心に据える。求人票には資格手当を明示することで、有資格者の応募意欲が高まる傾向があります。
- 軸②:社内資格取得支援制度の整備——採用後に資格取得を支援する制度を設けることで、若手の定着率が向上します。資格取得費用の会社負担や勉強時間の確保は、採用時の差別化ポイントにもなります。
- 軸③:継続雇用の仕組み化——経審の技術職員としてカウントされるためには、審査基準日(決算日)時点での雇用関係が求められます。短期雇用や請負契約では計上できないケースがあるため、直接雇用による継続雇用の体制を整備することが重要です。
- 軸④:若手・未経験者への採用ルート確保——建設業の担い手確保のため、国土交通省が推進する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録を採用活動に活かすことで、求職者との接点を広げる効果が見込まれます。
- 軸⑤:処遇改善と賃金水準の見直し——国交省の建設業における賃金等の動向に関する調査(2023年度)では、技術者・技能者ともに賃金水準の低さが離職理由の上位に挙がっています。経審スコアの向上による受注拡大を、賃金改善に還元するサイクルを意識的に設計することが定着率の向上につながります。
- 軸⑥:法人格を活用した社会保険の完備——2024年度以降、建設業許可の新規取得・更新において社会保険加入が実質的な要件となっています(建設業法施行規則の運用基準)。法人化により社会保険を整備することが、採用・経審・許可の三点を同時に前進させる土台となります。
建設業の人材確保に関するよくある質問
Q. 個人事業主のままでも建設業の採用は可能ですか?
A. 制度上は可能ですが、社会保険未加入の個人事業主は建設業許可の維持が困難になりつつあり、求職者の応募数にも影響が出やすい状況です。採用活動を本格化させるのであれば、法人化を検討する価値があります。資本金100万円程度でも法人格の取得は可能です(個別の税務・法務は専門家へご相談ください)。
Q. 経審の技術職員として計上するには何が必要ですか?
A. 審査基準日において、対象の技術者を直接雇用していることが基本的な要件です。雇用保険や健康保険・厚生年金の加入状況も確認されます。請負や業務委託契約では原則として計上できません。詳細は国土交通省の「経営事項審査の手引き(最新年度版)」または行政書士等の専門家に確認することを推奨します。建設業の求人を実体験|法人代表が語る採用と経審加点6軸2026
Q. 若手の採用を増やすためにどんな媒体を使えばいいですか?
A. 建設業専門の求人媒体のほか、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用、ハローワークの建設分野向けコーナーなど複数の接点を持つことが有効と考えられます。また、自社のWebサイトや採用ページで経審スコアや資格支援制度を公開することも、求職者の信頼を高める手段の一つです。
Q. 法人化にかかるコストの目安はどのくらいですか?
A. 株式会社の設立費用は一般的に、登録免許税15万円・定款認証費用約5万円・その他実費を合わせると25万〜30万円程度が目安です(司法書士報酬は別途)。なお、合同会社(LLC)であれば登録免許税が6万円と低く抑えられます。いずれも個別状況により異なるため、設立前に専門家への相談を強く推奨します。
Q. 建設業の人材不足は今後も続きますか?
A. 国土交通省の推計(2024年度)では、2030年代にかけて建設技術者・技能者の需給ギャップが拡大する可能性が示されています。早期に採用・定着・経審スコアの連動を設計した企業が、受注競争においても優位な立場を維持しやすくなると考えられます。個人差・地域差があるため、地元の建設業協会等にも状況を確認することを推奨します。
まとめと次の一歩
建設 人材確保に向けた行動チェックリスト
- 法人化の検討——社会保険加入・採用力・経審対応の三点を同時に前進させる土台として法人格の取得を検討する。
- 技術職員の資格状況の棚卸し——現在の雇用者が経審のW点にどう反映されているかを確認し、採用計画に反映させる。
- 資格取得支援制度の整備——既存の従業員・新規採用者の双方に対して、1級・2級施工管理技士など経審加点に直結する資格の取得を支援する制度を設ける。
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録——求職者との接点を広げる手段として活用する。
- 賃金・処遇の見直し——経審スコアの改善による受注拡大分を賃金改善に還元するサイクルを設計する。
- 専門家への相談——行政書士・社会保険労務士・税理士のそれぞれの専門領域に応じた相談窓口を確保する。
次の一歩を踏み出すために
私が2026年に法人を設立した時、正直なところ「手続きの複雑さ」よりも「法人化後の経営設計」の方が難しく感じました。建設業の経営者にとっても、採用・経審・許可・節税を個別に考えるのではなく、一体として設計することが今後の競争力を左右します。
特に経審加点と採用戦略の連動は、一度仕組みを作ってしまえば毎年の審査で効果が積み上がる点が魅力です。私がAFP・宅建士として複数の経営者の資金・税務相談に関わってきた経験から言うと、この連動を意識していた経営者とそうでない経営者では、3年後の経営安定度に明確な違いが生まれていました。まずは専門家への相談を出発点として、自社の現状を棚卸しすることを推奨します。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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